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「年金が月5万円」は質問じゃなく答え     

「年金が月5万円」は質問じゃなく答え

先日、ひとのブログ記事を読んでとても気になったので、その話。

そのブログには、「月5万円しか年金がもらえません。どうやって暮らしたらいいですか?」と質問があり、フィナンシャルアドバイザーの回答として、年金を増やす工夫、アルバイトで収入を得る、固定費の見直しなどの回答が示されていた。

 

おかしいと思うのは質問する側、答える側両方である。まず答える側についていえば、こんな答えで年金月5万円の人が暮らせるようになるとは思えないし、読むだけ時間のムダである。仮にもプロを名乗る人間がこれでいいのかと思う。

質問者に財産はあるのか、年金以外に収入があるのかの確認が前提となるが、それらがないと仮定すれば、①財産があるなら整理して現金化すること、②生活保護を申請すること、以外に有効な回答があるとは思えない。マスコミの媒体で発言するならともかく、個人のブログである。何に忖度しているのだろう。

もちろん、生活保護を受けようとすれば行政にさんざん嫌がらせされる。彼らにとって、生活保護を充実させ住民が安心して暮らせるようにすることは自らの成績にならない。成績にならなければ給料・ボーナスは増えず、昇進もできなければ希望部署にも配属されない。

それでも、財産がなくて年金が5万円しかなければ、健康で文化的な最低限の生活は確保されない。その差額を受給する権利が、すべての国民にある。生活保護である。手続きが面倒だの担当者にさんざんなことを言われるだのは二の次の話だし、プロの回答としてそれを提案しないのはどういう了見かと思う。

 

もう一つおかしいと思うのは、質問者についてである。

「月5万円しか年金がもらえない」というのは、どこかの時点で年金保険料を納めていないからである。いま60代の人は、20歳になるずっと前から年金制度があるから、請求されても払わなかった、保険料免除の手続きさえしなかったということである。

だから、内田樹先生の言い方に倣うと、年金5万円は質問じゃなく答えということである。最初からそうなると分かっていてそうしてきたのだから、実際そうなって困ったと言われても他人にどうしようもない。自分のしてきたことは、自分で受け入れるしかない。

もちろん、収入が少なくて年金が月7万円(国民年金満額)しかないというケースはある。ただ、そうした場合の多くは、自営であったり、言われなくてもアルバイトをしたりして、他人に訊くまでもなく生活が成り立つようにしている。

 

個人的には、年金だけで生活が成り立つかというと、そもそも制度設計時点でそこまで想定していなかっただろうと思う。高度成長期以前、親兄弟・親戚が一緒に住むのは当り前だった。みんな核家族で、年寄りでもひとりでアパートを借りて自立しなければというのは、つい最近のことである。

だから、親世代がひとりで暮らせなければ子供が面倒を見て、親は子供の扶養家族になり、税金・健康保険等の負担がなくなるとともに年金は生活費として子供に渡すというのがもともとの想定だった。だから現代でも、親だけで生活できなければ子供に頼るしかないし、そういう親子関係を築くべきだったのだろうが、それを今さら言っても遅いのだろうか。

子供に頼れなくても、本当は年金5万円が4人集まって暮らせば何とでもなるのだが、訊く方も答える方もアイデアにも出ないみたいだから、それもまた悲しい。

[Jan 17, 2026] 

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